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ごあいさつ

 去る平成30年6月2日開催の日本写真芸術学会第27回通常総会におきまして、内藤明前会長の後任として会長を拝命いたしました。
 日本写真芸術学会は、写真表現に関わる制作や理論、歴史等の学問的研究を行い、写真文化の向上と普及に寄与することを目的として平成3年に設立された、我が国初の写真芸術の名を冠した学会です。写真界の大先達の方々が尽力して発足した本学会の会長を務めさせていただくことは身にあまる重責を感じるところですが、会員の皆様のご支援ご協力をいただきながら専心努力する所存でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 さて、日本写真芸術学会が設立された平成3年から今日までの27年間は、写真を支える技術的な基盤が大きく変化した時代でありました。写真は科学上の発見や技術の発達を背景として19世紀の初めに誕生しました。写真は科学技術に支えられた視覚表象による記録と表現のメディアといえますが、長きにわたり貴重な歴史の記録や豊かな芸術的表現を支えてきたのは化学プロセスによる銀塩写真が中心でした。日本写真芸術学会が設立されたのはその技術の発展が頂点に達していた時期といえますが、それ以降、デジタルエレクトロニクスによるイメージング技術が発展し、21世紀に入ってからは急速に写真の主流は銀塩からデジタル写真システムへと変わってきたわけです。
 この新たに登場したデジタルシステムは写真の記録や表現にさらなる可能性をもたらしました。社会の中でこれまでにない形態の利用も行われるようになり、写真の世界はさらに大きく広がってきたといえます。振り返れば19世紀末からの写真技術の発達を背景に、20世紀の初めには、現代の写真の基盤となった近代的な写真表現が成立しました。21世紀の今日、新たなテクノロジーの出現を背景として、これからの写真芸術の方向性をどのように見定めていくべきでしょうか。その研究も本学会の大きなテーマとなっています。
 一方で、発達したテクノロジー、とくにコンピューターとソフトウェアの進歩により、写真撮影は誰にとっても、より容易により迅速に一定の結果が得られる時代になりました。そのようなことを背景として、とくに大きな影響を受けているのが写真教育ということもできます。しかしながら、これまで人類の発展に大きな貢献をしてきた写真を、今後も同様に社会の中で重要な役割を果たすべきものとして機能させていくために写真教育は不可欠のものであるはずです。これからの写真芸術を考えていくためにも、写真教育の研究は極めて重要であるといえましょう。
 また19世紀初めの写真発明以来、写真家たちが表現や記録のために、営々として創り上げてきた写真作品や画像は、美術館や資料館などをはじめとする多様な機関に収集され、それらの価値や保存継承の意義については言を俟ちません。歴史的な写真の検証やその研究も大きなテーマといえます。
 本学会が3本の柱として掲げている写真の表現、歴史、教育についての研究は今後一層重要性を増してくることが考えらえます。それら分野の学問的研究を行い、写真文化の一層の発展に寄与することが、本学会に課せられた社会的使命ということができるでしょう。
 最後になりますが、会員の研究発表の場として、年次大会における研究発表会、年2回の学会誌の刊行(奇数年は論文編2号、偶数年は論文編と創作編)を行っています。また平成29年度からは関西支部が正式に活動を開始し、本部含め年数回の研究会も実施しています。今後はこれらの活動のさらなる活性化と充実を図っていきたいと考えます。多くの会員の皆様の積極的な参加を期待するとともに、新たな会員の入会もお待ちしております。

日本写真芸術学会 会長
高橋 則英